2012年02月11日

逆柱と復興庁

「水木しげるの妖怪文庫 一」(河出書房新社 1984年)のなかに「逆柱」という妖怪が載っています。
sakabashira.jpg

この本によると、「木が自然に生えているときとは逆に、大工が上下をまちがえて立てた柱は、人が寝しずまっている夜中に腹を立てて、きしむといわれる。古くより、「逆柱」は、火災、家鳴など不吉なことの起こる原因とされ、大工たちに忌まれてきた。」そうです。しかしながら、日光の陽明門にはあえてこの「逆柱」を使い、災いを遠ざけたといわれており、古い民家でも、魔除けのための「逆柱」が使われている例もあるそうです。

柱に限らず木の上下を逆に使うことを「逆木」といい、普段の仕事の中でも上下があるもの、例えばフォトスタンドや箸立てなどは、極力「逆木」にならないように気を使います。

なぜ急にこんな話など書いたかといいますと、今日、木工の先輩から「自分のブログに書いたんだけど、あれは逆さだよな、間違いないよな」と電話がかかってきたからなのでした。あれとは昨日業務を開始した、東日本大震災の被災地再生ための復興庁の看板のことです。最近はあまりテレビを見ないため気づかなかったのですが、ネットニュースの画像を見ると、ほぼ間違いなく上下が逆さまになっているように見えます。
kanban-sakasa.jpg
右側は工房にあったエゾヤマザクラの板です。

この看板は、津波に耐えた「奇跡の一本松」で知られる岩手県陸前高田市の高田松原の松だそうです。木が曲がっていたり、根元より途中のほうが太かったりすると、右側写真のヤマザクラのように、板にしたとき木目の山形(タケノコともいいます)が上下に出来る(細長い楕円のようになる)場合も良くありますが、通常のマツなら比較的まっすぐに生長しますから、山形は根元を下にすれば上を向くはずです。製材の時、木の中心に対して平行にスライス出来るとは限りませんから板の裏・表によっても変わる場合があるので一概には言えないのですが、この看板は「逆看板」でほぼ間違いないように思われます。

看板に詳しいわけではありませんから、このような風習・習慣があるのかもしれません。若しくは日光の陽明門と同じくあえて逆さにすることでこれ以上の災いを遠ざけるという想いが込められているのかもしれません。それならとやかく言う筋合いの事ではありませんが、「何も気にせず、なんとなく作って逆さになっちゃいました。」ということならその無神経さはとんでもないことだと思います。

妖怪、本当に居るか居ないか分かりませんが(というより居ないのでしょう、でも居たら楽しいなぁ)、妖怪とは、昔の人々が、妖怪という姿を使って自然の掟・人としての生き方を説いているものでもあると思います。大臣の皆さんも、事務次官の説明を聞くのも大事ですが、妖怪の勉強もいかがですか?大臣である前に人としてしっかりしてくれよ!という事が多すぎます。
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posted by snowgoose at 23:17| Comment(5) | 木・木工
この記事へのコメント
お久しぶりです

あちらのブログを見て
こちらに確認に来ましたが…

お偉いさん達が木のことなんか
分かるわけないでしょwww

林野庁の官僚さんでも
問い合わせてみたら?


話し変わって

小学校の焼き窯の隣に
ピザ窯と燻製窯を備えると
言うアイディアはいかがでしょう?

会議のネタにでも使ってください

公園の名前は…

思いつきません

あしからずww
Posted by あにぃ at 2012年02月12日 23:16
まあ、役人が分からないのは仕方ないとしても、このマツを「自分の仕事が少しでも役に立つなら」と製材・仕上げた方の気持ちを考えたら、もしこれが上に書いたような意図や風習がなく、単純に上下逆さにしたというのなら、「間違えちゃった」で済まされる問題ではないと思います。
Posted by snowgoose at 2012年02月13日 22:07
☆snowgooseさんへ
今朝の風写さんのブログでも取り上げていましたが、
あの看板が逆木とは初めて知りました。
そこまで深い想いであの看板を作ったとは到底考えられませんね・・・
風写さんの言う通り、復興丁のあり方を見てもそう思わざるを得ません。
Posted by LYNX☆ at 2012年02月16日 07:28
訂正(汗
復興丁⇒復興庁
Posted by LYNX☆ at 2012年02月16日 15:40
復興庁、看板かけのニュース以降、あまり報道されていないような気がします。政治家のためのパフォーマンス組織、そんな感じですね。
ますます政治に対する不信感が高まりそうです。
Posted by snowgoose at 2012年02月16日 22:23
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